酔いどれだって構わない生まれてきたから生きてるだけ。今日も少しの後ろめたさを感じながらビールを喉に流し込む。酔いどれだって構わない生まれてきたから生きてるだけ。今日も少しの後ろめたさを感じながらビールを喉に流し込む。
「歌いたいことなんて一切ない」「歌いたいことなんて一切ない」

イントロダクション

大槻泰永は、上京してから32年、サラリーマンをしながら真黒毛ぼっくすとして活動を続けているミュージシャン。酔いどれな印象ばかりが先行してしまうが、ライブ活動だけでなく、大槻の日常を追い、曽我部恵一や石川浩司(パスカルズ/ホルモン鉄道/ex.たま)などのミュージシャン仲間や元妻、娘なども取材することで、大槻の新たな一面も垣間見れ、あがた森魚とのライブタイトルを冠した代表曲「酔いどれ東京ダンスミュージック」の歌詞の内容も深みを増して感じられてくる、愛すべきドキュメンタリーが誕生した。

本作監督の長瀬由依は、東京藝術大学に在学中の2016年の夏、度重なる偶然の理由で大槻の主催するライブに行き、後日、最寄り駅で目の前を歩いていた大槻に声をかけたことが出会いのきっかけだった。その後何度か杯を交わし、その人柄に惹かれ、卒業制作として構想するも、撮影は2017年春から年末まで続き、未完のまま卒業。のちに完成した作品は、東京ドキュメンタリー映画祭の正式出品作に選ばれた。

あらすじ

バンド・真黒毛ぼっくすの大槻泰永は上京してから32年、会社員として働きながら音楽活動を続けてきた。かつてはテレビ番組”イカ天”こと「三宅裕司のいかすバンド天国」にも出場し、同世代や憧れのミュージシャンとも共演してきた大槻は今、仕事中と睡眠中以外はだいたい傍にお酒がある、そんな生活を送っている。

ライブの最中に飲んだり、はたまた二日酔いだったり、時にはライブの前に飲みすぎて怒られたりと、その様に周囲の人々は最初は驚き振り回されながらも気がつけば渦の中に巻き込まれていく。

撮影・編集・監督

長瀬由依

長瀬由依

1993年生まれ、神奈川県出身。東京藝術大学先端芸術表現科卒業。大学の卒業制作として真黒毛ぼっくす・大槻泰永を撮影した「酔いどれ東京ダンスミュージック」が2019年の東京ドキュメンタリー映画祭で入選。

出演

大槻泰永

大槻泰永

1985年、就職で上京を機に真黒毛ぼっくすを結成、ライブハウス等で演奏活動。
1989年、太陽レコードより4曲EP「ダイナマイト」発表。その後、ライブごとに演奏者を集めるかたちで精力的に活動、自身の青空レコードより「酔いどれ東京ダンスミュージック」「夢の旅」等10枚のアルバムを発表。2020年には曽我部恵一と共演した「純情LIVE!」を発表。また「九十九里浜まで」がTVで取り上げられて話題になる。

コメント

敬称略・順不同
  • 水木しげるの描く情けないサラリーマンをそのまま実写化したような大槻さん。もし日本に「酒飲み音楽」というジャンルがあったとしたら、高田渡さん亡き後、そのトップに君臨するのは大槻さんかもしれない。駄目を全身に纏った人間そのままの姿をステージで見せて自分を映す鏡のようにこちらをドキリとさせてくれる、稀有なミュージシャン。そこにピンと来てドキュメントを撮った若き長瀬監督の感性は本当に素晴らしい!

    石川浩司
    (パスカルズ/ホルモン鉄道/ex.たま)
  • 酔っぱらいも、ステージの真ん中に立ってさえしまえば芸だから、こっちのもんだよね、うまくやってっかな大槻さん、自分は身体壊しちゃったけど、皆さんお元気ですか、また騒げたらいいすね、その日を楽しみに。

    大木温之
    (ピーズ)
  • いい映画はそこに映っている人を裸にする。大槻泰永さんは正直者で嘘つきだ。でもこの映画でそれがすぐにばれてしまうということは、彼は真底正直者なのだろう。歌うことなんて何もないというのは歌いたいことがいっぱいあってしょうがないということだし、ひとりは気楽でいいというのはひとりは寂しくてたまらないということだ。そんな大槻さんの正直者の本音が彼の美しい音楽の源であり、魂のありかなのだ。それを全部ばらしてしまっているこの映画は素晴らしい。

    中川五郎
  • 人生うまくいかないと思って落ち込んだり、自分を追い込んで疲れてしまったり。誰しもそんな日がある。そんなとき『酔いどれ東京ダンスミュージック』は、大槻さんのような生き方があっていいし、私もなんとかなるかな、と思わせてくれる。大槻さんの人間味あふれる魅力を映し出した長瀬監督の目を通して、人のあたたかさ、包容力、寛容さを感じられるドキュメンタリー映画。人生を味わい深くするのは完璧さよりもおかしみ。この映画に励まされ、また明日を迎えよう。

    飯田志保子
    (キュレーター)
  • 素晴らしい。人間は、音楽より素晴らしい。

    曽我部恵一
    (サニーデイ・サービス)
  • この映画は『酔いどれ東京ダンスミュージック』を歌う大槻泰永と出会った長瀬由依監督による相思相愛ドキュメンタリーである。千鳥足で〈人生の崖っぷち〉を歩きつづける堕天使=大槻。〈絶望の奈落〉へ落っこちそうで、落っこちない。この〈ギリギリの男〉を長瀬監督はカメラで抱きしめた。そこでは相思相愛のやりとりが、まるで年の差カップルのように展開する。しかし、ふたりは…。それは観てのお楽しみ!

    代島治彦
    (映画監督・プロデューサー)
  • 「恋愛初期には曲ができない。別れた時のほうが曲ができる。でも曲なんてできなくていい。幸せな日々が送りたいですよ」
    という言葉を聞いて、ほんとにそうだよな、と思う。でも曲ができることは何事にも代えがたいとも語る。酔っ払いながら。
    生活と創作とダメさがほどけないくらいに絡まっている大槻さんの魅力。
    しゃがれた色気のある声と気取らない人柄(と酒)をもって、愛されて、呆れられて、素直に、せきららに、生きる人の魅力。
    多くの人がこの映画に触れて、もっともっと肩の力を抜いて、自分の歌を口ずさめたら。そしたら、きっと、なんかいいと思う。
    人間ってこれでいいのでは、って思う。これがいいのでは、って思う。

    今泉力哉
    (映画監督)

特報・予告編

  • 特報(1分3秒)
  • 予告(1分59秒)

劇場情報

アップリンク吉祥寺
2021年11月08日現在
※上映劇場・日程が変更となる場合がありますので、
鑑賞の前に必ず各劇場にご確認ください。
地域 劇場 電話番号 公開日
東京 アップリンク吉祥寺 0422-66-5042 9月17日(金)〜30(木)
愛知 名古屋シネマスコーレ 052-452-6036 10月9日(土)〜15日(金)
京都 アップリンク京都 075-600-7890 12月18日(土)・20日(月)・22日(水)
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